痔に悩んだ歴史上の人物

外国人編

ルター

「私は一日中、トイレにすわって聖書を読んでいる」
ルターは友人にあてた手紙にこう書いています。

1483年ドイツに生まれ、プロテスタント派を生んだ宗教家マルティン・ルター。ルターの宗教改革は、ローマ法王に異議文を送ったことが始まりでした。
その結果、破門され、数々の制裁を受けるなど、ルターの悩みは尽きなかったのです。

ついには憂鬱症(ゆううつしょう)になり、暴飲、暴食の毎日。悩みは精神的なものだけでなく、不摂生がたたり便秘をきっかけに痔にも悩まされていました。

一日に何回も、そして長時間トイレで奮闘していたのですが、トイレはルターの落ち着きの場でもあったようです。

毎日トイレに座り、聖書を読んだり、手紙を書いたり・・・。
痔は偉大な聖人に安らぎの場を教えてくれたのかもしれません。

参考文献 R.フリーデンタール 「マルティン・ルターの生涯」新潮社
プランニング OM「トイレは笑う」TOTO出版

ナポレオン

「吾輩の辞書に“不可能”という文字はない」と言いきったナポレオン皇帝も、1815年6月18日、46歳のときにワーテルローの戦いに敗れ、セント・ヘレナ島に流されてその生涯を閉じました。

ある記録によると、ワーテルローの戦いの2〜3日前にナポレオンは、血栓性の痔核でひどく悩んでいたとか。

痔の痛みのために、鋭い指揮力も鈍ってしまったのでしょうか。
もし当時、有効な痔の治療法が開発されていたなら、ナポレオンの天下は“百日”ではなく、何年にもわたったことでしょう。

参考文献 Dis.Colon & Rectum (U.S.A.) 31 (4) 303〜305,1988

ルイ14世

ベルサイユ宮殿を中心とする、フランス・ブルボン王朝の最盛期を築いたルイ14世。国内外に大いなる威光を示したことから、太陽王とも称されていました。

そんな絶対君主であった彼を悩ませた病が痔ろう。1686年、48歳のとき、王室外科医であるフェリックスの執刀による手術を受けています。

この時期、彼はオランダなど周辺諸国の連合軍との戦争を計画しており、まずは自身の悩みを解消し、戦にのぞもうと考えていたのかも知れません。

ともあれ、手術は無事に成功し、彼はその感謝の意を表わすために、フランスにおける外科医職の復興の道を開いたということです。

その後、多くの卓出した外科医が現れ、1731年に王立外科アカデミーが創立されるまでになりました。

参考文献 世界医療史(井上清恒他 訳)内田老鶴圃

マーラー

グスタフ・マーラーは、オーストリアの作曲家、指揮者で、19世紀のロマン派の特質を備えながら、20世紀の音感覚に先鞭(せんべん)をつける器楽法や自由な調性を導入して、次代に大きな影響を与えました。10曲に及ぶ長大な交響曲は、現在も多くの波紋を投げかけています。

マーラーは1897年に、ヨーロッパ音楽界最高の地位であるウィーン国立歌劇場の総監督に就任。その10年間に輝かしい偉業を残し、歌劇場の全盛期を築き上げました。

しかし、その多忙な生活のため、若い頃からの持病である痔が悪化し、歌劇(オペラ)の終演後に、命にかかわる大出血を起しています。

周囲の人々にしばしば誤解され、受け入れられなくても、“やがて私の時代がくる”と強気で跳ね返していたマーラーも、痔による大出血のときには、さぞ弱気になっていたことでしょう。

参考文献 船山隆 「マーラー」新潮文庫

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